「武八」では、引き戸を開けると笑顔の大将が私を歓迎します。一人での訪問でも、その暖かい笑顔に安心感を抱かざるを得ません。店内はコンパクトで、7~8人掛けの小さなL字型のカウンターと小あがりに2卓が配され、アットホームな雰囲気が広がっています。
席につくと、気配りを感じる言葉とともに、クーラーの風が心地よく届く場所をすすめられます。お通しは、千切りキャベツの上にのった魚の天ぷら、ポン酢とともに彩りよく提供されます。シンプルながらも美味しい一品です。
メニューには、焼魚類が中心で、黒板には焼魚や焼き鳥、焼うどんなど、親しみやすい料理が並びます。ちょっと洒落た料理もあり、例えば、生ハムのマリネは、一味違った選択肢として楽しめます。中心的な価格帯は500円程で、どの料理も手軽に楽しむことができます。
私はししゃもとカマを眺めながら、次に何を頼むかをじっくりと考えます。瓶ビールを半分ほど楽しんだ後、次は酎ハイを注文。大将は「炭酸はこれで良い?」と気配りを忘れません。私は特にこだわりがないので、その提案に頷きます。そのサワーは、程よく呑みやすいもので、選んで良かったと満足感があります。
カマ塩焼は、意外なほど肉厚で、しっかりとした食感が楽しめます。この料理と共に、1合の燗を注文し、丸みを帯びた可愛らしいおちょこで日本酒を堪能します。時間が経つにつれ、大将との会話が弾む中で、お店が25年の間に見てきた変化や、近隣の様子などを伺うことができます。
常連のお客様が帰ったあとの店内は、更に静かで落ち着いた空間となり、心地よく時間を過ごすことができました。女性一人でも気軽に訪れることができ、リラックスできる時間と空間を提供してくれる「武八」は、私にとっても大変印象的な場所となりました。大将の笑顔とお気遣いに、感謝の気持ちでいっぱいです。ごちそうさまでした。