元は札幌・中の島の名店「仲寿し」を営んでいた店主、菅原豊さんが奥さんと営む、増毛町の國稀酒造の向かいにある小さな寿司店。
「仲寿し」を営んでいたある日、生まれ故郷の増毛へ出かける途中、浜益村(現・石狩市浜益区)にある小さな漁港の集落「濃昼](ごきびる)で、空き家になった鰊番屋が目にとまった。それは母屋と番屋に分かれた1900(明治33)して大幅改修、予約制の磯料理の店「濃昼茶屋」を2000年に開業した。開業当初から「仲寿し」時代の常連たちを中心に全国から客が訪れ繁盛したが、すぐ傍のトンネルが新しくなってルートが変更され、アクセスが不便になることから、2006年に故郷の増毛に戻り、國稀酒造の向かいにあった倉庫を改築して、小さな寿司店を同年7月に開業した。わずが10席ほどという小さな店だが、「濃昼茶屋」時代からの客を中心に開業当初から寿司好きの集まる店として話題になり、口コミを中心に全国へそのうわさが広がり、いつも客の絶えない繁盛店となった。特に、寿司ネタは、鮮度抜群の近海ものに加えて、店主の菅原が自ら考案の厚田産鰊による塩蔵しない「生数の子」や「蛸の柔らか煮」など、創意工夫の目立つ仕事振りで、握りはもちろん、海鮮ちらしなどもまたたくまに増毛一番の味と評されるようになった。
今や、レベルが高いことで知られる全国誌や全国放送のテレビ番組でも数多く取り上げられるようになり、夏場は特に、順番を待つ客で行列ができる店にまでなっている。2月は魚介加工に精力を注ぐため休業。3月からゴールデンウイーク前の4月下旬と11月以降の冬に訪ならば、ゆっくりとその味を堪能でき、店主と語らうこともできるはずである。
「すが宗」最新情報
2012年は3月から平常営業している「すが宗」だが、電話やFAXでも気軽に注文できる、店主自慢の冷凍食品がこのほど完成、発売されている。
それは、冷凍された袋のままレンジでポンすればすぐに食べられる「すが宗のうにめし」。その写真もアップしたが、同じく冷凍で別添えの「いくら醤油漬」付きで1袋735円(送料別)。お皿に袋ごと未開封で蒸気口を上にして「冷凍うにめし」をのせ、電子レンジ(500W)で約3分20秒加熱すると袋が膨らみ、ポンと音がして蒸気がぬけ、袋がしぼむ。そうしたらすぐに電子レンジから取り出し、開封して器に盛る。別に取り出しておいた「いくら醤油漬」を散らしたら完成。器は丼が絵にはなるが、やや深めのお皿のほうが「うにめし」は盛り付けやすいかも。
なお、「いくら」が苦手な方には、「冷凍うにめし」のみ1袋525円。輸入物の「うに」を使用しているからこそ実現できた破格な値段だが、店主が心を込めて味付けしており、十二分に旨い。
もちろん、店で出す海鮮生ちらしや寿司には地物か周辺の道産品を使っているので、誤解しないでね。
店主にお尋ねしたところ、常連からの注文は5〜10袋(クール便の送料は同じ)が平均的とのこと。
また、直接店へ行って海鮮生ちらしや寿司を食べる方は、保冷材を入れたアイス(クーラー)ボックスを持参し、帰りしなにお土産として「すが宗のうにめし」を購入、持ち帰ることができて便利かも。
今年、2012年の5月以降は、あとで分かるが、店は大混雑することが確実。空いているいまのうちに、増毛へ行って「すが宗」でゆっくりと旨いものを味わっておかれることをおすすめします。
「すが宗」最新情報2
2012年4月20日発売の『ミシュランガイド北海道2012特別版』のなかで、「すが宗」が“ビブグルマン”(3500円以下で質の高い料理が楽しめる121軒)マークのついた店に選ばれ、掲載されています。
ミシュランの取材スタッフが店を訪ね、名刺を置いていった話は聞いていましたが、これは快挙。星が着かなかったのは残念ですが、増毛町では唯一、北北海道でも数少ない“ビブグルマン”店に選ばれたのは、この店を気に入っている客のひとりとして、うれしい限りです。
ちなみに、私はその『ミシュランガイド北海道2012特別版』を購入はしていません。立ち読みだけで充分。アララ…と思うような店も選ばれているのは、いくら客観的取材といっても最後は独断が左右するこの世界のしょうがないところ。みなさん、自分の好きな店が選ばれなかったといって、がっかりしないでくださいね。