萬盛庵に足を運んだ際、店内に一歩入れば、あたたかな「いらっしゃいませ」という声が迎えてくれます。店内の照明はやさしく、無音の空間が心地よい時間を約束してくれます。テーブルには多少経年の風合いを感じるメニューが配られ、その中に「きしめん」の文字が目を引きます。きしめんがメニューに載っている店は、その品質に自信を持っていることが多いと耳にしていたので、興味津々で注文しました。
私は「かしわ南ばん蕎麦」を選びました。提供される蕎麦は細めで、そのコシの強さが特徴的です。つゆは塩辛さが際立ち、その味わいには懐かしさを感じました。一方、大きめのかしわの切り身がゴロリと入っており、そのボリュームには驚きました。また、ネギが縦に切られて入っており、この組み合わせは新しい発見でした。
隣で注文されたきしめんも試食させてもらいました。麺のもちもちとした食感と、控えめながらも存在感のあるダンビロ感は、きしめん独特の魅力をしっかりと感じることができました。その出汁の味わいは、かつおの深みを中心にした塩味が際立っていました。
萬盛庵は、静かな時間を過ごしながら、しっかりとした蕎麦を楽しむことができるお店です。